3

4/22
前へ
/194ページ
次へ
「ありがとう…。でも僕に親切にすると…その…、相馬君も…」 「無視される?九条に?クラスのやつらに?だったら何だっていうんだ」 相馬は呆れたように、ふんと鼻をならした。 「こんな狭い箱の中で誰にどう思われても俺は気にしないけどね。それよりもあんなふうに言われっぱなしで黙ったままでいられるお前は、馬鹿なのか小心者なのか…見てるこっちがイライラする」 「ごめんなさい…。でも未知が怒るのも当然の事だから。それに未知は僕の大切な友達だから」 庇ってくれた相馬の気持ちは有難いが、鈴蘭にとって未知はやはり一番の友達だ。 鈴蘭がそれだけははっきりと告げると、眼鏡の位置を直しながら相馬は「相当なお人好しだな」と呟いて自分の席へと戻っていった。 授業が始まっても、昼休みの時間になっても未知はそのまま戻ってこなかった。 いつもは未知と共にオメガクラス専用の学食に行ったり、裏庭で弁当を広げたりする。 裏庭はオメガの生徒の溜まり場で、他の生徒達はよほどの事がないと訪れない。 結局未知に愛想をつかれた鈴蘭に話しかけてくるものは相馬の他に全くおらず、鈴蘭は居心地の悪さにランチバッグを手に教室を出た。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1990人が本棚に入れています
本棚に追加