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「運命の…番…」 「そう、運命だってすぐにわかった」 誠悟はゆっくりと鈴蘭の唇を食んだ。 「あ…」 柔く引っぱられる唇の感触に背筋が震える。 「や、やめ…」 「やめない」 午後の授業の開始を知らせる鐘の音が響く中、誠悟はひたすら鈴蘭の唇を捕らえて離してくれない。 「もう行かなきゃ」 「いやだ、行かせたくない」 「でも…」 「一週間…、一週間以上も君に会えなかったんだ。お願いだからもう少し…」 誠悟は熱っぽい瞳で訴えかけてきた。 そんなの、自分だってそうだ。 発情期の間ずっと誠悟を想い続けていた。 手に入れてはいけない人だと思いながら、彼を想わない日はなかったのだから。 「ずるいよ…。そんなの僕だって…」 食まれ続けた唇は、すっかり誠悟の感触を覚えてしまった。 できることなら永遠に、ずっと唇を合わせ続けていたいと思う。 鈴蘭は誠悟の肩口にそっと額をつけて溜息をついた。 とくんとくん、と誠悟の心臓の音が聞こえる。 やっぱり誠悟の全てが欲しい。 優しく鈴蘭の背を撫でる手のひら、体温、胸の鼓動、全てが自分のためにあればいいのに。
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