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「……運命の番って…、お前も九条未知みたいな事を言うんだな。そんな都市伝説級の話、本気で信じているのか?」 ふん、と鼻を鳴らし相馬は鈴蘭から顔を背けた。 呆れてものも言えない、そういわんばかりの態度を取られて、つい鈴蘭の肩が落ちる。 「そうだよね…、ありえないよね…」 きっと他人に話してもわかってもらえないだろうこの感覚。 少し優しくしてもらっただけなのに、何を期待していたのだろう。 鈴蘭は勝手に相馬に何かを期待してしまった事を反省した。 「帰ろっか」 そう言って鞄を手にしようとした時、相馬が一歩距離を詰めてきた。 「相馬君?」 何か気迫のようなものを感じ見上げると、相馬の瞳がゆらり揺れた。 「都市伝説だと思っていた…。でも、俺は運命を知ってる…」 「え…?」 ひとけのなくなった教室、相馬はシャツのボタンを上からひとつ、ふたつと外していく。 もの憂げな相馬の表情に、鈴蘭は彼の指の動きを食い入るように見た。 弛められた襟元から見えるのは、くっきりと歯形が刻みつけられたうなじ。 「相馬君…」 鈴蘭は眼球がこぼれ落ちそうなほど目を見開いた。 「俺は番ったんだ…、運命と」
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