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「本当に…、お前は信じられないくらいのお人好しだな…。お人好しのお前にひとつ教えておいてやるけどな…」 相馬は、はあ…と呆れたように溜息をつく。 「運命の相手は呪いみたいなものだ。出会ってしまったが最後、忘れる事なんてできやしない。お前が一生箱宮を忘れられないように、あいつも一生お前の事を引きずって生きていくとは思わないのか?お前がひとりを選ぶというなら、あいつも同じ選択をするかもしれない」 「え…」 「だってそうだろう。お前が箱宮を求めるように、箱宮もお前を求めているんだから」 自分の選択がまさか誠悟の人生にも作用するかもしれないなんて。 もしも誠悟が同じように、一生鈴蘭の事を思いひとりで過ごすのだとしたら…、そんな悲しい思いを彼にさせたくはない。 昼休み、彼の笑顔をたくさん見た。 子供みたいに弁当の料理に嬉しそうに笑い、ほんの束の間だったけど恋人に見せるようなはにかんだ笑顔も見た。 誠悟にはいつだって笑っていてほしい。 それが自分に向けられなくても、ずっと。 「相馬君…、僕……」 誠悟と未知、どちらを選んでも悲しむ人が出てしまうのだとしたら。 いったいどちらを選ぶのが正解だというのだろう。
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