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「俺に答えを求めても無駄だ。自分で考えろ。ちなみに俺は自分自身を最優先に考えた。結果がこれだ」
相馬はするりと服の上からうなじをなでた。
教室ではクールな彼だが実はとても情熱的な一面を持っているらしい。
「僕も…、僕も欲しい。僕のうなじに一生消えない痕をつけて欲しい…」
ずっと思っていた、出会ったその瞬間からずっと。
「そうか」
相馬は目を細め、満足げに頷く。
「へへっ…」
そんな相馬の様子がおかしくて鈴蘭は笑った。
「なんだ?」
「相馬君っておせっかいだね」
「はあっ!?」
「おせっかいで…すごく優しいんだね」
きっと鈴蘭に過去の自分を重ねて見ていたのだろう。
運命の番に出会い、戸惑い悩み諦めようと必死になっていた鈴蘭を放っておけなかった相馬は、本当に優しい人だ。
「お前がぐずぐず悩んでるからイライラしただけだ!」
ちょっと怒ったように相馬はぷいと背を向けた。
「どうもありがとう」
「礼なんか言うな!」
照れてうなじを赤く染める相馬の後ろ姿を見つめながら、自分達がオメガに生まれた意味を考える。
それがもし、運命の番に出会うためだったとしたら──、その運命を受け入れようと思った。
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