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数日経っても未知は教室に姿を現さなかった。 担任に尋ねると、未知は家族で海外に旅行へと行っているとの事だ。 未知はよく気まぐれに学校を休む。 鈴蘭は、未知が自分に対し相当腹をたてているのだろうと悲しい気持ちで主のいない机を眺めた。 未知の欠席が二日三日と続くと、鈴蘭によそよそしかったクラスメイト達も次第に以前の日常を取り戻し始める。 おはようと声かけすればおはようと返ってくるし、他愛のない雑談も交わし合える日々が戻ってきた。 「全く、呆れたやつらだな」 教室を見回して相馬がぼそりと呟いた。 戻ってきた平穏な日々に未知だけが存在しない。 鈴蘭は未知と話をすると決めていた。 運命の番である誠悟の事を許してもらおうと思っている。 いや、未知が許してくれなくても誠悟を譲る気はもうなかった。 ただ親友へのけじめとして誠悟と交際する事は言っておかなければならない。 鈴蘭は未知の帰りを待ちわびていた。
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