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昼休み、鈴蘭はまた体育館裏のベンチへと向かった。 「鈴蘭」 鈴蘭の姿を見つけ、誠悟が嬉しそうにベンチから腰を上げた。 再会した日から約束などはしていないが毎日こうやって昼休みを二人で過ごしている。 未知への後ろめたさはあるものの、やはり誠悟に会いたいという気持ちには勝てなかった。 「今日は君代さんのカツサンドだ!」 ランチバッグを開き中を覗き込むと、誠悟もつられて顔をよせてきた。 「どうぞ」 中身を取りだし誠悟に手渡そうとした。 その瞬間、視界が全て誠悟だけになり、そして唇に少し乾いた柔らかい感触。 「んっ…」 触れた唇からじわりと官能が広がっていく。 辺りに二人だけしかいないとはいえ学校の敷地内、誰に見られるかわからない。 そっと誠悟の肩を押す。 「だめだよ…」 「ん、ごめん」 誠悟はそう謝りながらも、鈴蘭の頬にキスをする。 「やっ…、くすぐったいよ」 笑いながら顔を背けるが唇は更に追ってきた。 「今日も甘い香りがする…。昨日鈴蘭がくれた、鈴蘭の香水よりも清楚で、でもやっぱりすごく甘い…」 首輪の上からうなじを軽く食まれて、背筋が痺れるように感じた。 早く──、早く直に食まれたい。 吐息が首にかかり全身の力が抜ける。 鈴蘭はそっと誠悟の肩にもたれかかった。
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