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「ねえ、鈴ちゃん」 親友との決別を覚悟していた鈴蘭だったが、数日経ったある日、未知の方から声がかかった。 「未知…」 その声に驚いて振り返ると、未知は穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。 「鈴ちゃん、仲直り…しよっか」 「えっ」 プライドの高い未知の方からまさかそんな言葉が出てくるなんて思っていなくて、驚き以外の言葉が出ない。 「僕、誠悟君の事、許してあげてもいいかなって…」 先日の怒りが嘘のように、未知はご機嫌で踊るようなステップで鈴蘭に近づいた。 「え、何で…?」 「何でって。だって二人は運命の番なんでしょう?じゃあ僕がどれだけ頑張ったって無理じゃない…。それとも、僕と仲直りするのは…イヤ?」 小首を傾げるその顔に、ほんの少しの媚びを感じた。 「嫌じゃないっ…。でも…、いいの?怒ってない?」 嘘みたい。 未知の方から仲直りしようなんて。 未知は決して自分から折れるような事はしない。 鈴蘭が戸惑っていると未知は「鈴ちゃんは特別だからね」と言った。 「ずっと仲良くしてきたでしょう。僕も鈴ちゃんがいないとつまんない」 「未知…、ありがとう…」 未知からの仲直りの申し出に、ぽろっと涙が頬を伝った。 自分が今まで大切にしてきた友情は簡単に壊れる事なんてなかったんだ、と温かい思いが胸に溢れる。 「未知、本当にありがとう。本当にごめんね」 「ううん、いいんだ。それよりさ、鈴ちゃんにひとつお願いを聞いて欲しくて」 「お願い?」 鈴蘭は涙に濡れる睫毛を瞬かせた。
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