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「そう、お願い。鈴ちゃんにはきっと簡単な事なんだけど…」 含みを持たせた言い方に、何だかよくない予感がした。 こういう言い方をする時未知は、何かよからぬ事を企んでいると知っている。 未知を怒らせた者達に未知は容赦しなかった。 未知を支持する物騒な連中もいる。 彼らを使って二度と立ち直らない程に痛めつけてやろうと、未知は何度計画をたてただろう。 制裁を加えようとする未知を、今までなだめすかして抑えるのは鈴蘭の役目だった。 そんな事をしたら自分の品格を堕とすだけだよ、と鈴蘭が言えば未知は渋々手を引いた。 冷静に諭せば未知はそれが正しい事か自分にとってよくない事か判断できる。 しかし今、未知に忠告できる者はいない。 「あのね、鈴ちゃん。今度僕の友達だけでパーティーするんだ」 「パーティー…」 「そう。だからね、そのパーティーに鈴ちゃんにもぜひ来て欲しいな。その時はもちろんこの間の夜みたいに…とっても綺麗なドレスを着て来てね」 どうやら未知は、自分の友人達の前で鈴蘭に女装させ笑い物にする事に決めたようだ。 「ねえ、来てくれるよね?」 純真無垢な天使の笑顔で、未知は鈴蘭のプライドを傷つけようとしている。
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