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運命の番。 アルファとオメガにはお互いにそう呼ばれる相手が存在するという。 社会的強者のアルファと、カーストの一番底辺として差別されてきたオメガ。 そんな正反対の存在であるのに、世界のどこかには運命で結ばれるアルファとオメガが存在するという。 それは本能と呼べるレベルの惹かれ合いで、立場や性別、お互いの人間性への好き嫌いすら凌駕してしまうというのだ。 しかし広い世界の中で、たった一人の運命を見つけだすことは奇跡に近い。 都市伝説レベルの話だが、でもそれは確実に存在するというのだ。 未知は自分の運命のアルファを夢見ている。 運命と出会ってドラマチックに恋に落ちる。 夢見る瞳で運命の番の事を語るけれど、しかし未知はリアリストでもあった。 一生をかけても出会えるかどうかわからない運命よりも、一緒にパーティーに出席する相手のことで今は夢中だ。 「ああ、彼が運命だったらすごく素敵だったのに…」 「ふうん…」 鈴蘭も未知も、運命の番に出会ったことはない。 出会った瞬間、運命だとすぐわかるといわれるが、それが本当に運命なのか、それともただの一目惚れなのか、どこがどう違うというのだろう。
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