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明日の未知のお相手は、鈴蘭たちと同じ学園に通うアルファクラスの男子らしい。 アルファクラスは、アルファの中でもさらに優秀なアルファの生徒が集められていた。 他のアルファたちはベータと一緒くたにされ、普通クラスで学ぶ。 優秀なアルファが集められたエリート校の中でも、もっと特別に優秀な生徒がアルファクラスに入れるのだ。 「すごいね、未知の彼」 鈴蘭がそう感心すると、未知は白磁の陶器のような頬をうっすらとピンクに染めた。 まだ幼さの残る中性的な未知は、本当に可愛らしい顔をしている。 未知の可憐さは遠くのアルファクラスまで届いているらしい。 時々、校門でアルファの生徒に声をかけられる未知を見かける。 この学園で、アルファとオメガの生徒が交流を持つことはまずない。 それは突然の発情期に備えた学園の配慮によるものだ。 オメガには一ヶ月から三ヶ月周期で、個人差はあれど一週間程度の発情期が訪れる。 発情期のオメガは性的なフェロモンを出す。 そのフェロモンはアルファの理性を失わせるほどのもので、良家の子供たちを性的被害者と加害者にさせないためにオメガクラスは学園の端っこの方にひっそりと隔離されて存在するのだ。
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