4

17/24
前へ
/194ページ
次へ
  由井に追い出されるようにマンションを出ると、路上に黒い高級車が停まっていた。 「お~い」 伊奈が運転手に手を振ると、すっと車は鈴蘭達の前に停車した。 ドアを開けようと出てくる運転手を手でいなし、伊奈はドアを開いて鈴蘭達を先に乗せた。 「類は今日うちに泊まればいいよね。とりあえず、星崎家に向かって」 運転手は小さく頷き車を発進させた。 「伊奈君ちってすごいの?」 未知に全く屈する様子もなかったし、由井は伊奈に敬意を払っているようだった。 鈴蘭はさくらぐみのなおちゃんである伊奈しか知らない。 「うち~?うーん…、すごいっていうか、まあ家格は九条よりは上だよねえ?類」 こてんと相馬の肩に頭を預け、伊奈は鈴蘭に微笑みかけた。 「まあそうなるかな?旧貴族の家だし官僚や大臣も多く輩出してるしなあ…。まあ、直己に国の未来を託すつもりは全くないが」 「あはは~!俺は類を婿にもらう予定だし!類が頑張ってオメガ初の総理大臣になってよね~」 伊奈が相馬の頬にキスすると、相馬は慣れっこなのか少し呆れたように微笑み返した。 「だから未知の事が怖くないんだね」 「は?怖い?」 伊奈はきょとんと目をぱちくりさせて鈴蘭を見た。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1990人が本棚に入れています
本棚に追加