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それは鈴蘭が必死に守ろうとしてきた未知との友情を根底からぶち壊すような話だった。 「まあ…、未知の天下も今夜までかもね…」 「え…?」 「由井があれだけの怒りを見せたってことは、九条氏も相当怒ってるってことだろうし…。それに…」 「それに?」 続きを促したが、伊奈は口に手をあててそれ以上語ることはなく、彼の関心は隣に座る相馬へと移ってしまった。 「あ~、るいるい。今日もエロい匂いさせてるなあ…」 伊奈はにやつきながら、くんくんと相馬のうなじを嗅いでいる。 「ああ、発情期だからな」 「だよね~。帰ったら子作りしよ~よ~」 自分達以外の存在を無視して、伊奈は相馬の体をまさぐり首筋にキスの雨を降らせている。 「悪いな。こういうやつなんだ」 「あ…、はい…」 誠悟を見ると彼も目のやり場に困った顔をしている。 相馬だけが通常通りいたって普通の顔をしていた。 「あ、あのさ…。伊奈君は相馬君からどんな匂いがするのかな…?他のオメガとは違う匂いがする?」 運命の番である伊奈と相馬。 誠悟が鈴蘭から甘い香りがすると言ったように、特別な何かを嗅ぎ取ってきるのだろうか。
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