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「そういう君はアルファなの?」
伊奈は紺色のネクタイに向かって尋ねた。
「…っ!俺は、ベータだけどそれが何か…?」
生徒の瞳の中に劣等感を発見して、伊奈はそこへ向けて怒りの矢を放った。
「ベータのくせにオメガをよく馬鹿に出来たよな。オメガがオメガらしくって言うんだった、ベータもベータらしくアルファに使われていればいいんじゃない?ベータがどれだけ努力しても、結局君らは俺達アルファの上には立てないんだから。俺からしたらベータもオメガも大差ないけど?」
自分の中で一番嫌味な言い方を敢えてすると、言われたベータの生徒は顔を真っ赤にして前を向いた。
「お前すごい嫌味なやつだな」
言われた生徒ではなく、隣のアルファの生徒か毒気を抜かれたようにそう呟いた。
「だって先にけんか売ってきたのはあいつでしょう」
「そうだけど…」
この時、伊奈の隣であふれる正義感を振りまいていたのが箱宮誠悟、そしてアルファとベータの生徒の中、たった一人紛れ込んだかのように存在するオメガが相馬類だった。
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