4

24/24
前へ
/194ページ
次へ
「そういう君はアルファなの?」 伊奈は紺色のネクタイに向かって尋ねた。 「…っ!俺は、ベータだけどそれが何か…?」 生徒の瞳の中に劣等感を発見して、伊奈はそこへ向けて怒りの矢を放った。 「ベータのくせにオメガをよく馬鹿に出来たよな。オメガがオメガらしくって言うんだった、ベータもベータらしくアルファに使われていればいいんじゃない?ベータがどれだけ努力しても、結局君らは俺達アルファの上には立てないんだから。俺からしたらベータもオメガも大差ないけど?」 自分の中で一番嫌味な言い方を敢えてすると、言われたベータの生徒は顔を真っ赤にして前を向いた。 「お前すごい嫌味なやつだな」 言われた生徒ではなく、隣のアルファの生徒か毒気を抜かれたようにそう呟いた。 「だって先にけんか売ってきたのはあいつでしょう」 「そうだけど…」 この時、伊奈の隣であふれる正義感を振りまいていたのが箱宮誠悟、そしてアルファとベータの生徒の中、たった一人紛れ込んだかのように存在するオメガが相馬類だった。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1990人が本棚に入れています
本棚に追加