【4 神刺】

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「神の……使い」  茫然と言葉を失っていると、突然めまいに似た視界の揺れを感じる。ふらついたままベッドに手をつく私の肩に、汐原は手を掛ける。 「疲れてるんですよ、今日はゆっくりと休んで下さい」 「い、いや……何かおかしい。具合が……」  手に力が入らなかった。チカチカとした網膜の点滅とともに、急速に視野が狭くなっていく。朦朧とする意識の中、汐原の声がうっすらと聞こえてくる。 「大丈夫ですよ、睡眠導入剤みたいなものですから。少し眠ってもらうだけです」 「な……何か、入れたのか。さっきの水の……な、か……」 「心配することはありませんよ。すぐに終わりますから」 「や……めろ」  それ以上、汐原の言葉は聞こえなかった。真っ暗な闇の中へと落ちていく感覚とともに、私の体は糸の切られた人形のように再びベッドに倒れ込んでいった。
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