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「あら、でも鳴海くんも絵麻ちゃんのこと褒めてたけどねぇ」
「え……」
鳴海さんが私を褒める?
そんな事あるの?
「おい、そろそろ帰るぞ」
「あ……はい!じゃあおばさん、ご馳走さまでした!また来ますね」
2人で店を出て歩いていると、鳴海さんの携帯に電話がかかってきた。
ちらっと聞こえる会話の内容は、おそらく仕事の話。
数分後、険しい顔で電話を切る鳴海さん。
「……悪い、今から会社に行かなきゃいけなくなった」
「何かトラブルがあったんですか?」
「あぁ。取引先のデータのことでちょっとな。悪いな、送ってやれなくて」
いつもクールな鳴海さんだけど、ほんの少しだけ顔に申し訳ない気持ちが出ていて、つい笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「だって……鳴海さんのそんな顔、初めて見ました」
もういつものクールな顔に戻っちゃったけど。
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