見えない敵意

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翌朝、起きたら目がまだ赤く腫れていた。 どれだけ泣いたんだろうと自分でも呆れる。 陽くんの浮気を疑ったときでさえ、涙なんて出なかったのに。 今日は会社を休みたいけど、もちろん目が腫れているからなんて理由で休めるわけもない。 仕方なくシャワーに入り、軽く朝食を食べて化粧をして家を出た。 私の家から会社までは電車と徒歩で大体40分くらいだ。 実家から通えれば良かったんだけど、実家は都内じゃないからけっこう距離があって、ここに入社したときに1人暮らしを始めた。 いつもと同じ時間の電車に間に合い、ホームで携帯をいじりながら電車を待つ。 そして電車が到着して、乗ろうとしたとき……バランスを崩して倒れ込み、軽く足首をひねってしまった。 今、絶対誰かに押された……。 慌てて後ろを振り向くけど、人がいすぎて誰に押されたのかなんてわからなかった。 私の勘違いだったらいいけど……体は無意識に震えてしまう。 その後は何事もなく、なんとか無事に会社に着いた。
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