見えない敵意

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「絵麻、今日遅かったわね。何かあったの?」 「あ……うん、ちょっと朝足首捻っちゃって」 急いで更衣室で着替えて受付に行くと、もう雪ちゃんが準備万端な状態で私を待っていた。 まだ他の社員が出社してくる前。 雪ちゃんに、小声で今朝誰かに押されたことを話した。 「え……何よそれ!誰かに狙われたってこと?」 「わからないけど……確かに背中を押される感触があったの。あと少しタイミングがずれてたら……」 電車にひかれていたかもしれない。 「でも、私の勘違いかもしれないんだ。一応後ろすぐ見たけど、怪しい人はいなかったから……」 「勘違いだったらいいけど、足は大丈夫なの?」 「うん、多分……少し痛いけど捻っただけだから大丈夫だと思う」 このときは、この会話だけで終わったけれど、この後から本当の恐怖が始まった。
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