見えない敵意

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お昼休憩に入り、久し振りに社員食堂へ向かう。 お弁当は朝作ったけれど、ぼーっとしてて持ってくるのを忘れてしまったから。 すると食堂へ向かう途中、後ろから大きな声で呼び止められた。 「あれ、伊咲ちゃん今お昼ー?」 このいつ聞いてもハイテンションな声は、仙堂さんだ。 そしてその隣には、やっぱり鳴海さんがいた。 「今食堂行くの?俺らも行くから一緒に食べようよ」 鳴海さんと顔を合わせるの、すごい気まずい。 一緒にランチなんて……無理だよ。 「あ……でも混んでるみたいなんで、私はやめておきます」 そう言って来た道を戻ろうと歩いたら、突然鳴海さんに腕を掴まれた。 「お前、どうした?その足」 鳴海さんは、些細な私の変化に何故か気付く。 「……なんでもないです」 「え?伊咲ちゃん足怪我してるの?」 「ちょっと捻っただけなので」 「いいから見せろ」 そう言って鳴海さんは、しゃがみこんで躊躇なく私の足に少し触れた。 触られた足首が、一気に熱を持つ。
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