見えない敵意

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翌朝、かなり周りを警戒しながら電車に乗った。 いつもと同じ時間の電車に乗るのは怖かったから、1本早い時間の電車に乗ったら、今日は何もなかった。 多分昨日誰かに押されたのも、私の勘違いなんかじゃない。 非通知の不在着信も、きっと同じ人の仕業な気がした。 でも、誰なの……? 誰がこんな事……。 会社に着いてすぐに雪ちゃんに相談すると、雪ちゃんは予想外な事を口にした。 「もしかしてさ、鳴海さんのこと好きな女の仕業なんじゃないの?」 「え……」 「だって最近鳴海さん、絵麻にちょっかいかけてるじゃない。絶対、女の逆恨みよ」 「……そうなのかな」 「だって他に心当たりある?」 考えても、わからなかった。 だけど言われてみたら確かに、鳴海さんと私が一緒にいるところを見て、不快な思いをしている人もいるはずだ。
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