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鳴海さんに突然キスをされたあの日から1週間が経った。
あの日から、私は鳴海さんを避けている。
避けているといっても、彼から何か接触があるわけではない。
なるべく顔を合わせないように、目を合わせないように。
でも受付にいる以上、全く顔を合わさないわけにはいかない。
嫌でも目に映ってしまう。
鋭い視線で私を射抜く、彼の姿が。
「ねぇ絵麻。鳴海さん、今通ったときすっごいあんたの事見てたけど」
仕事中、隣の雪ちゃんがさすがに気付いて私を問い詰めてきた。
「あんた達、何かあったわね?」
「な、何もないよ……」
「嘘つくんじゃないわよ私に。今日終わったら飲み屋直行だから」
私はきっと雪ちゃんには隠し事できないと思う。
だけど、いつか雪ちゃんにバレる日が来るとは思ってた。
だって鳴海さんの視線は容赦ないから。
最近鳴海さんに話しかけられそうになったら、すかさず忙しいフリをして話しかけられないようにしていたから……怒ってるのかもしれない。
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