見えない敵意

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「あの……すみません、13時に打ち合わせの約束で来社した者なんですが、企画部は何階ですか?」 雪ちゃん並みに綺麗な、ショートカットの女性のお客様が来社した。 ふんわりといい香りがする。 雪ちゃんと即座に雑談をやめて、受付の仕事モードに切り替える。 「あ……失礼ですが、お名前伺ってもよろしいですか?」 「泉といいます」 「泉様ですね。今確認致しますので、少々お待ち下さい」 今日のアポイントの表を確認し、担当の人を内線で呼ぶ。 「只今担当の者が参りますので、あちらにお掛けになってお待ち下さい」 泉明日香さん。 アポイントの表を確認すると、会社名は陽くんと同じ会社だった。 女性だけど、営業の人なのかな。 見ると泉さんは、私の顔をまっすぐに見たまま動かない。 「あの、何か……?」 「あ、いえ、ごめんなさい。向こうで待ってますね」 ……明らかに、何か違和感を感じた。
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