見えない敵意

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「まぁでも、絵麻にその気はなかったわけだから、浮気じゃないしね」 確かに私は強引にキスをされただけ。 だけど、その気はなかったなんて、はっきりと言えるのかな。 浮気ってどこからが浮気なんだろう。 手をつないだら?キスをしたら? 体を重ねてしまったら? 恋人以外の男性のことが無意識に頭に浮かんだら? と、そのときテーブルの上に置いてあった私の携帯が鳴った。 何故か私より先に雪ちゃんが着信相手を確認する。 「噂をすれば……鳴海タケルだって」 ヤバイ、こんなの雪ちゃんに見られたら……。 「早く電話出なさいよ」 絶対言われると思った。 「いいの。出ないから」 「じゃあ私が出るわ」 「え、ちょっと……!」 止めようとする前に、雪ちゃんは勝手に電話に出てしまった。 「はい、絵麻。鳴海さんが代われって」 にっこり微笑んで私に携帯を渡す雪ちゃん。 この笑顔がいつ見ても怖くて、絶対に雪ちゃんには逆らえない私。
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