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陽くんに別れを告げて、私は先にお店を出た。
レストランのドアを開けて外に出た瞬間、堪えていた涙が次々に零れて行く。
彼の前では絶対に泣きたくなかった。
涙なんて見せてしまったら、お互い心のどこかで未練が残るから。
自分で出した決断を、私は後悔したくない。
立ち止まったまま溢れる涙を拭いていたら、すぐ傍で車のクラクションの音がした。
その音に吸い寄せられるように車を見ると、見覚えのある車が1台瞳に映った。
ここにいるはずがない。
だけど、見間違うはずがない。
私はあの車の助手席に2回乗った。
少し大きめの四駆の車の運転席。
窓が開き、今私の心を占めている人が顔を覗かす。
きっとこの人に出会っていなかったら、私は陽くんの浮気を許していたかもしれない。
「そんな所で泣くな。早く乗れ」
「……はい」
涙でぐちゃぐちゃな顔で彼の車へ向かいながら思った。
私はこの先きっとこの人に堕ちていく。
……そんな予感がした。
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