誕生日の夜

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「あの、こないだは助けて頂いて本当にありがとうございました!お礼遅くなっちゃってすみません!本当に鳴海さんと仙堂さんが来てくれなかったらどうなってたかって思うと……」 未だに怖くて震えそうになる。 本当にお礼を何度言っても言いきれないくらい、感謝している。 「ちょっと顔あげてよ伊咲ちゃん……お礼なんていいって。俺らより、雪ちゃんの方がお手柄だよ。凄い剣幕で俺らにいろいろ教えてくれたんだから」 雪ちゃんには本当に多分この先一生頭があがらない。 親友が雪ちゃんで良かったと心から思う。 「でも今日だって……用事とかなかったんですか?」 「あぁ、今日は実は用事あったんだけどね。彼女とデート」 「えっ」 「でもタケルに頼まれたら断れなくてさ。アイツが俺に頼み事するなんて珍しいし」 本当に申し訳ない。 結局いろんな人に迷惑かけてしまっている。 「あ、でも全然気にしなくていいから伊咲ちゃんは。ちゃんとタケルに交換条件提示して引き受けてるから」 交換条件って……? 「ねぇそれよりさぁ、さっき携帯見たままフリーズしてたけど、またあの女から変なメールでも来たの? なんて返信すればいいのかわからないメール。 陽くんは、どんな気持ちであの文章を打ったんだろう。
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