誕生日の夜

15/28
前へ
/28ページ
次へ
「違うんです。嫌がらせのメールは仙堂さんたちのおかげで来なくなったので」 「あ、じゃあ浮気してた彼氏からメールでもきた?伊咲ちゃんのことだからまだ別れてないんでしょ」 「……なんでわかるんですか?」 やっぱりこの人、鋭い。 「わかるよ。だって伊咲ちゃん、彼のことすごい好きだったんでしょ」 すごい好きだった。 確かにそうだ。 「それに2年も付き合ってたら多少は情とかもあるしね。そう簡単に別れるなんて言えなくて困ってるんじゃない?」 「仙堂さんって……エスパーですか?」 心の中をあっさりと読まれた気がした。 やっぱり恋愛経験豊富な人は、人の気持ちがよくわかるのかな。 「伊咲ちゃんが割とわかりやすいんだよ。迷いが顔に出てるし」 そう言われて慌てて両手で顔を抑えると、仙堂さんがお腹を抱えて笑い出した。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

696人が本棚に入れています
本棚に追加