誕生日の夜

19/28
前へ
/28ページ
次へ
「なんて、散々浮気してきた俺が言ったって説得力0だけどね」 確かに言われてみればそうかもしれない。 少しおかしくなって、2人で目を見合わせて笑った。 「まぁとにかく、いい恋愛をするべきだよ。ちゃんと後悔しないような選択をするように。俺から言えるのはこれくらいかな」 「ありがとうございます。仙堂さんのアドバイス、参考にしてみます」 「頑張って。あ、やべ……彼女から電話きた。じゃ伊咲ちゃんまた明日ね!」 「ありがとうございます!お疲れさまでした!」 仙堂さんと別れて、駅まで歩く帰り道。 今日仙堂さんと初めて2人きりになって、わかった事が1つだけある。 2人きりでも、全然緊張しなかった。 鳴海さんと2人きりでいるときにいつも感じるあの胸のドキドキを、少しも感じなかった。 鳴海さんといるときは、いつも痛いくらい感じるのに。 後悔しないような選択をするように。 その仙堂さんの言葉が、家に着いた後もずっと心の中に残った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

696人が本棚に入れています
本棚に追加