696人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんて、散々浮気してきた俺が言ったって説得力0だけどね」
確かに言われてみればそうかもしれない。
少しおかしくなって、2人で目を見合わせて笑った。
「まぁとにかく、いい恋愛をするべきだよ。ちゃんと後悔しないような選択をするように。俺から言えるのはこれくらいかな」
「ありがとうございます。仙堂さんのアドバイス、参考にしてみます」
「頑張って。あ、やべ……彼女から電話きた。じゃ伊咲ちゃんまた明日ね!」
「ありがとうございます!お疲れさまでした!」
仙堂さんと別れて、駅まで歩く帰り道。
今日仙堂さんと初めて2人きりになって、わかった事が1つだけある。
2人きりでも、全然緊張しなかった。
鳴海さんと2人きりでいるときにいつも感じるあの胸のドキドキを、少しも感じなかった。
鳴海さんといるときは、いつも痛いくらい感じるのに。
後悔しないような選択をするように。
その仙堂さんの言葉が、家に着いた後もずっと心の中に残った。
最初のコメントを投稿しよう!