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その日から3日間、毎日のように陽くんのことを考えた。
後悔しない選択ができるように。
家にいるときは、2人で撮った写真を見たり、陽くんからもらったプレゼントを眺めて思い出にふけったり。
まるで陽くんが浮気をした事実なんてなかったかのように、幸せだった記憶ばかり思い出してしまう。
そして今日は、私の誕生日。
陽くんにはメールの返信は結局できなかった。
今日の19時になったら、陽くんはあのレストランで私を待っている。
「それにしてもさぁ、鳴海さんもタイミング悪いよね。今日のこの大事な日に出張でいないなんて」
鳴海さんは一昨日から出張でいない。
出張から帰ってくるのは明日だと仙堂さんから聞いた。
「鳴海さんには今日のこと話したの?ていうか、今日が絵麻の誕生日だって知ってるの?」
「知らないよ……だって言ってないもん」
「絵麻ってホント抜けてるよね。普通は言うでしょ」
雪ちゃんが心底呆れたように言う。
普通は、言えないよ。
今日、私の誕生日なんですだなんて。
でも雪ちゃんなら、確かに平気で言えちゃいそうだ。
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