696人が本棚に入れています
本棚に追加
4年前、父が亡くなった日。
いつも気丈な母が、初めて私たち娘の前で泣いた。
人目を気にせずに、取り乱して。
取り乱す母を支えながら、思ったんだ。
これからは、家族3人で何があっても強く生きて行くんだって。
父が亡くなってから、私たち3人の絆は確かに強くなった気がする。
特に一人暮らしを始めてからは、この2人の大切さが、身にしみてわかるようになった。
「お母さん、絵里……ありがとう」
「どうしたのお姉ちゃん、改まって。なんか怖いんだけど」
「ホント。何かあったの?最近絵麻と電話で話したときにすごい暗かったって、絵里ったらずっと心配してたのよ」
「ちょっ……お母さん口軽すぎだから!」
やっぱり家族っていいなって思ったら、また泣きそうになってきた。
最近ダメだ私。
いくらなんでも泣き過ぎてる。
「あ、もしかしてお姉ちゃん彼氏にフラれた?目、赤いし」
「あら、陽くんと別れちゃったの?写真でしか見たことなかったけど、いい男だったのに~」
心底残念そうな母に、楽しそうに笑う妹。
暗くなっていた気分が、少しこの2人のおかげで晴れて行く気がした。
最初のコメントを投稿しよう!