運命の出会い

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女なんて、ただ自分の性欲を満たすための道具。 女を抱くことに、それ以外何の意味もない。 そう本気で思っていた。 「タケル……好き……」 俺に抱かれながら、女は言う。 だけどその言葉に、何も感じない。 男は好きじゃない女でも簡単に抱ける。 むしろ好きな女と身体を重ねたことなんてあっただろうか。 多分自分は、人を好きになるとかそういう感情が欠落している。 「タケル今日は会ってくれてありがとう。また今度会ってくれる?」 「……また連絡する」 冬真っ只中の1月。 黒のコートに身を包み、女を置いて先にホテルを出た。 こうやってたまに会う女が何人かいる。 そのときの気分で、女を呼び出してホテルに直行。 自宅には、女を入れたことは1度もない。 自分の車にも乗せたことはない。 自分のプライベートに踏み込まれたくないから。 こんな男は最低だと、自分でも思う。
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