880人が本棚に入れています
本棚に追加
女なんて、ただ自分の性欲を満たすための道具。
女を抱くことに、それ以外何の意味もない。
そう本気で思っていた。
「タケル……好き……」
俺に抱かれながら、女は言う。
だけどその言葉に、何も感じない。
男は好きじゃない女でも簡単に抱ける。
むしろ好きな女と身体を重ねたことなんてあっただろうか。
多分自分は、人を好きになるとかそういう感情が欠落している。
「タケル今日は会ってくれてありがとう。また今度会ってくれる?」
「……また連絡する」
冬真っ只中の1月。
黒のコートに身を包み、女を置いて先にホテルを出た。
こうやってたまに会う女が何人かいる。
そのときの気分で、女を呼び出してホテルに直行。
自宅には、女を入れたことは1度もない。
自分の車にも乗せたことはない。
自分のプライベートに踏み込まれたくないから。
こんな男は最低だと、自分でも思う。
最初のコメントを投稿しよう!