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「美味しい……鳴海さん、私こんな美味しいお魚の定食初めて食べました」
たかがさばの味噌煮1つにめちゃくちゃ感激する彼女を見ていると、心の中が暖かくなってくる。
自分が彼女にしたことに対しては後悔したけれど、彼女を好きになったことを後悔する事はない。
きっとこの先も。
食事を終えた俺は2人分の会計を済ませて店を出た。
すると奢ってもらうわけにはいかないと、財布からお金を出してくる彼女。
女って、奢ってもらうのが普通だと思ってるヤツらばかりだと思っていた。
けど、コイツに金出されたってもらえるわけねーだろ。
俺が一緒に食事したくて誘ったんだから。
適当にいろいろ言ってとりあえず財布を閉まわせた。
「じゃあ、次は私に払わせて下さい。あんまり高いものはご馳走できないですけど……」
「へぇ。次もあんの?」
彼女の言葉に思わずニヤリと笑ってしまう。
「……すみません、今の言葉忘れて下さい」
忘れてやんねーよ。
その言葉は無視して会社の駐車場に向かって歩き出すと、背後から彼女が駅に行くと言い出した。
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