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「……送ってやるからついて来い」
電車に乗るからいいと頑なに断る彼女の腕を強引に掴み連れて行こうとすると、彼女はブツブツ言いながらもゆっくりと俺の後ろを歩き始めた。
「乗って」
駐車場に着き、運転席に座る。
自分の車に女を乗せるのは初めてだ。
いや、そもそも他人を乗せた事がない。
今までなら絶対に嫌だったはずなのに。
自分から乗るように仕向けるなんて、本当に自分の変わりっぷりには自分でも驚いてしまう。
彼女の家の住所を聞き、ナビに入力する。
助手席に座る彼女は少し緊張した表情を浮かべていた。
彼女の家に着くまでの間はいろいろな話が聞けた。
彼女の仕事の話、友達の話、あと家族の話。
「うちのお母さんは弁護士なんですけど、凄いカッコいいんです。料理は全然出来ないんですけどね。あと妹が1人いて、今大学生なんです。姉妹凄い仲良しなんですよ」
いつかコイツの家族に、会える日が来るんだろうか。
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