783人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の話す内容なら、どんな些細な事でも興味がある。
俺らしくもなく質問攻めをしていたら、あっと言う間に彼女の家に着いてしまった。
家の辺りは街灯が少なく、この時間だと相当周りは暗い。
こんな所に住んでて危なくないのかと心配になる。
車が止まり、彼女は律儀に深々と頭を下げて今日のお礼を言ってきた。
こんなに律儀な女は見たことがない。
きっと親の育て方が良かったんだろうと思う。
彼女が車を降りる前に、俺は最後の質問をした。
「……お前さ、彼氏とうまくいってんの?」
わかりやすい程に、顔色が変わった。
「……急にどうしたんですか?」
「この1週間、ずっと泣きそうな顔して受付にいたから。何かあったんだろ」
「……何もないです」
「嘘つくな」
本当は彼女の方から、今日何か俺に相談してきてくれるんじゃないかと期待していた。
何か辛いことがなければ、こんな苦しそうな顔はしない。
最初のコメントを投稿しよう!