触れた唇

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とりあえずこの女に言いたい事を言った俺は、そのまま会社を出て大阪へ向かった。 すげー生意気な女だけど、きっと彼女との絆は強いだろう。 俺を睨みつける目でわかる。 余計な事かもしれないけど、これで彼女の悩みが少しでも解決に進めばいい。 彼女のあんな悲しそうな顔は、できれば見たくないから。 大阪での出張は何の問題もなく順調に終わった。 夜はやたらとうるさい取引先の社長に飲みに連れて行かれて疲れたけど。 無理やり連れて行かれた社長行きつけのスナックで、店の若い女が俺の隣に寄り添ってきた。 この女が、アイツだったらいいのに。 なんて、こんな離れた場所でも無意識に思い出すのはアイツの笑った顔。 相当ハマりすぎててヤバイな、俺。 「どうした?鳴海くん。もっと飲みなさい」 「……はい、いただきます」 酒は嫌いだけど飲めないわけじゃない。 むしろどんなに飲んでも酔わないから、量はかなり飲める方。 早く東京に戻ってアイツの顔が見たい。 その一心で嫌いな酒を飲んでこの夜を過ごした。
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