触れた唇

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「佐藤!泣いてる暇あんなら早く探せ。泣けば済むと思うなよ」 「今探します!主任本当にすみません……」 「謝るのは後からだ。徹底的に探せ」 そしてその場に残っていた全員で探した結果、佐藤の席の近くのゴミ箱の中からUSBメモリが見つかった。 なんでゴミ箱から出てくんだよ。 事態は収束したものの、いつまでたっても責任感のない佐藤を厳しく説教した。 俺が叱っている間も、泣き続ける女。 女って、マジで面倒くさい。 「主任、お疲れ様です」 そう言ってブラックのコーヒーを差し出す村瀬。 コイツは男なのに、気がきくヤツだ。 「あの子にはホント困りますよね。いつまでたっても仕事覚えれないし。さすがに今回の事で変わってくれるといいですけどね」 「だといいけどな」 そう言いながら携帯を確認すると、さっきまで一緒にいた彼女から『家に着きました』のメール。 素早く『わかった』と返信する。 会社に着いたとき、家に着いたら連絡しろとメールしておいた。 あまりにもあのキスで呆然としていたから、無事に帰宅できているか心配だった。
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