初めて見せた涙

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スピードを加速させ、車は普段よりも早く会社の前に着いた。 するとちょうど仙堂が、会社の裏口から出てくるのが見えた。 隣に彼女の姿はない。 「仙堂!」 「あれタケル、めっちゃ早くない?会社着くの」 「それよりアイツは?」 「それが伊咲ちゃん、ちょっと前に帰ったんだって。行き違いになっちゃったかな」 じゃあ、帰りは電車か。 「一応、雪ちゃんはタクシー乗って帰るように言ったらしいけど」 「とりあえず無事に帰ってるか気になるから、アイツの家まで行ってくる」 「俺も行くよ!もし何かあったら人手は多い方が助かるだろ」 確かにもし何かあったとき、多分コイツは役に立つ。 「わかった乗れ」 「了解!」 仙堂を助手席に乗せて、彼女の家まで急ぐ。 頼むから、何事もなく無事に家に帰っててくれ。 車のハンドルを握りしめながら、彼女の無事だけを願った。
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