初めて見せた涙

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「本当に、ありがとうございます」 俺たちが脅迫犯を探っていたことをやっと知った彼女は、何度も頭を下げてお礼を言ってきた。 別に感謝されたくてやったわけじゃない。 ただ彼女を守りたかっただけ。 救いたかっただけだ。 そのとき信号が赤になり、ブレーキを踏んで隣の彼女を見る。 長く柔らかい髪の毛に、思わず手が伸びて触れてしまった。 さっき彼女を抱き締めた感触が、まだ体中に残っている。 一度触れてしまったら、何度でも触れたくなる。 抑えなんて、簡単に利かなくなる。 「礼なんかいらないから……早く俺のこと好きになれよ」 思っていたことをそのまま口に出した。 早く、早く。 俺だけを見てほしい。 そう願いながら、触れていた柔らかい彼女の髪にキスをした。 視線は彼女を見つめたまま。 髪に口づけると、彼女の白い頬がみるみると赤く染まっていくのがわかった。 この顔、ホントやめてほしい。 運転中に理性失いそうになる。
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