781人が本棚に入れています
本棚に追加
「わざわざそんな事言って、一緒に寝てほしいの?」
「絶対寝ません」
そう言った彼女の声は予想外の冷たさで、明らかに怒っている気がした。
「なに怒ってんだよ」
「怒ってません」
「怒ってんだろ」
「怒ってません。ただ鳴海さんが私のことからかうから……」
からかう?
からかってるつもりなんて、少しもない。
この想いをからかいなんかと一緒にすんな。
「勝手に勘違いすんな」
テーブル越しに絡み合う視線。
彼女のこの真っ直ぐな瞳は、いつも俺をおかしくする。
「あの日お前にキスした理由、知りたいって言ってたよな」
以前聞かれた時は、電話だから言いたくなかった。
きっとこういうことは、顔を見て言わないと意味がない。
「い、いいです言わなくて」
そう言って立ち上がり、俺の横を通り過ぎようとする彼女の腕を掴んだ。
「逃げんな」
逃げ道なんて、作らせない。
この想いを抑えるのは、もう無理だと思った。
最初のコメントを投稿しよう!