初めて見せた涙

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「俺は冷たい人間だから、どうでもいい女のためにこんなことしない。わざわざ面倒くせぇ料理作ったり、自分の家に連れてきたり」 全てが、初めてだった。 女にここまで執着したのも、傷つけたくないと思ったのも。 「俺が欲しいのはお前だけ。出会ったときから、ずっと」 そしてこの先も、彼女以上の女なんて現れないと断言できる。 俺の言葉を黙ったまま聞く彼女の頬に触れた。 ただ頬に触れただけなのに、簡単に欲情してしまう自分がいる。 キスしたかったけど、今はやめておいた。 またあんな風に避けられたら、さすがに俺もショックを隠しきれない。 彼女がいつか俺のモノになるまでは、手は出さない。 「でも、どうして私なんですか……?だって私、鳴海さんに好かれる理由が見当たりません」 最初は完全な一目惚れだった。 だけど今は、勿論それだけが理由じゃない。 言い尽くせないくらいの魅力がある。
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