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「それ本人から聞いた?」
「もちろん。あ、先週さ、システム部で伊咲ちゃんの送別会あったから行ったんだよね。藤崎部長に来いって誘われちゃって。で、そのとき席近かったからいろいろ話して聞いたわけ」
そういえば定食屋に行ったとき。
アイツは俺が出張だったことを知っていた。
その送別会のとき聞いたってことか。
「あれ言ってなかったっけ?この話」
「……聞いてねーよ」
「タケルも誘おうと思ったんだけど出張中だったからさー。でも伊咲ちゃん、タケルいなくて残念そうな顔してたよ」
「……ふーん」
本当にそうならいいけど。
まぁそれが例え本当だとしても、今避けられているこの状況は、俺にとっては相当ツラい。
さっきだって、受付の前を通ったときアイツはわざと俺にだけ視線を向けなかった。
喫煙所を出た後も、仕事をしながらもイライラは結局収まらなかった。
このままじゃ気が済まない。
その日仕事を終えた夜、俺は彼女に電話をかけた。
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