彼女の異変

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「私が動揺してるの見て楽しんでるんですか……?」 「正直、俺のせいでお前が動揺してるのを見るのはすげーいい気分」 無視され続けたときはさすがに頭にきたけど、俺のことを意識して避けていたんだとしたら悪い気はしない。 「ふざけないで下さい。……どうしてキスなんてしたんですか……」 キスをした理由なんて、1つしかない。 「教えてほしい?」 「教えて下さい」 「電話では言いたくねぇな。お前の反応見れないとつまんねーし」 俺の前で頬を赤く染める彼女の顔が見たいから。 だから、そのつもりで言ったのに。 「もういいです」 冷たく涙ぐんだ声で一言彼女はそう言って、電話を切った。 怒らせるつもりで言ったわけじゃないのに。 完全に、逆効果。 ただ素直に好きだと言えればどんなにいいだろう。 だけど女にそんな事、今まで言ったことがない。 通話が切れた携帯を見つめながら、深い溜め息をついた。
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