彼女の決断

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俺の家族の話をすると、彼女は楽しそうにそれを聞いてくれた。 電話の奥で時折聞こえる彼女の笑った声。 俺にとっては自分の家族の話なんて面白くもなんともないけど、彼女が少しでも笑ってくれるならいいと思った。 だけど、本当に1番聞きたいことは何一つ聞けなかった。 彼氏とはどんな話し合いをしたのか。 結局どうなったのか。 こんなとき、臆病になっている自分に気付く。 「そういえばお前、警察だけどいつ行ける?早めに行った方がいいらしいけど」 「あ、そうですよね。いつにしよう……」 一気に彼女の声のトーンが落ちた。 きっと心細いんだろう。 「月曜の仕事のあとなら、俺も一緒に行けると思うけど」 「え……ホントですか?」 急に明るくなる声に、思わずふっと笑ってしまう。 「どうして笑ってるんですか?」 「お前が分かりやす過ぎるから」 こういう彼女の素直な反応が、多分俺は相当好きだ。
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