第10話 彼女の決断

彼女の決断

そして月曜日。
今日は午前中で外回りを終えて、順調にいけば通常通り仕事をあがって彼女の付き添いをする予定。

だった筈なのに。
こういうときに限って、望んでもいないトラブルは起きてしまう。

取引先の外回りを終えて昼からデスクで仕事をしていると、部下からヘルプの電話がかかってきた。

どうやら取引先へのプレゼン途中で、相手の部長と意見の食い違いが起きてトラブルになっているらしい。

普通ならなんとかなるような案件だけど、今回は経験の浅い新人を向かわせていた。
俺の人選ミスだ。

「わかった、今からすぐそっちに向かう」

電話を切り、相手方に詳しい社員と出掛ける準備をする。

「あそこの部長、一度怒ると厄介な相手ですよ。多分かなり時間かかると思います」

なんで彼女との約束の日に限って。
溜め息をつきながら時計を見る。
多分戻ってくるのは間に合わないな。

だけど1人で警察に向かわせるのは心配だ。
それに、きっと心細いはず。

仕方なく携帯を手に取り仙堂に電話をかけた。
今頼れるのはアイツしかいない。