彼女の決断

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正面玄関を抜ける前に、受付へ立ち寄る。 「悪い、今日一緒に行けなくなった。取引先とトラブルがあって、かなり終わるの時間かかる」 そう言うと、彼女の顔がほんの一瞬不安そうな表情に変わった。 素直過ぎるから、手に取るように心の中が読めてしまう。 「あ……全然大丈夫です!1人で行けるので……それよりトラブルって大丈夫ですか?」 心細くて仕方ないくせに、俺の仕事のほうを心配してくれる。 こんな何気ないことでも、感じる彼女の優しさ。 「こっちは俺が何とかするから大丈夫だけど。お前の方は代わりに仙堂が一緒に警察行ってくれるから」 仙堂が付き添ってくれることを知りほっとする彼女に、待ち合わせの時間と場所を指示して会社を出た。 仙堂の連絡先なんて、教える意味がないし。 俺の知らない所で仲良くなられたら困る。 彼女に伝えた時間と場所を仙堂にメールして、トラブルが起きている取引先へ向かった。 幸い俺ともう1人の社員で謝罪して、もう1度プレゼンをやらせてもらえることになった。 予想通りかなり相手先の部長の怒りが収まるのは時間がかかってしまったけれど、なんとかプレゼンもうまくいき、再度取引をしてもらえる事になった。 その後も会社に戻り事務処理を終わらせてから帰宅。 散々な1日だった。
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