彼女の決断

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江口のかわりに名古屋に向かった俺を、そこの取引先の相手は快く迎え入れてくれた。 たまに担当者以外の者が対応すると、あからさまに態度を変える会社もある。 仕事は順調に進み、3日目の木曜日。 突然の急展開が待っていた。 それは遅い昼食を終えて16時過ぎ、取引先の部長と雑談をしていたときだった。 携帯に、知らない番号から着信が入った。 1度は無視したものの、また鳴りだす携帯。 「すみません、ちょっと」 一言断りを入れて電話に出た。 「もしもし」 「鳴海さん、私です。飯嶋雪です」 この女から電話が来るなんて、理由は1つしかない。 「アイツに何かあったのか?」 「何かあったっていうか……これから多分何かが起きるから教えてあげようと思って」 「どういう事だよ」 「簡潔に言いますけど、今日絵麻の誕生日なんです」 今日だったのか。 せめて週末だったら、少しでも祝ってやれたのに。 「で、今日絵麻19時から武川さんと会う約束してるんです。もう1度絵麻とやり直したいから、武川さんが誘ったみたいで。そんなの行かなければいい話なんですけど……多分絵麻、行きますよ。あの人のところに」 その言葉を聞いて、完全に動揺している自分がいた。
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