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「いいんですか?このまま行かせても」
「……それがアイツの決めた答えなら仕方ねぇだろ」
「へぇ、鳴海さんの気持ちってその程度だったんですね。なんだ、わざわざ電話して教えて損した」
「アイツを諦めるつもりはない。だけど仕事放ったらかして今そっちに行くわけにはいかないんだよ」
俺が今東京に帰るわけにはいかない。
まだ1日こっちでやる仕事が残っている。
「鳴海さんが絵麻を諦めるつもりがあろうがなかろうが、そんなの関係ないんです。今日絵麻がもし武川さんとやり直しちゃったら、一生絵麻は手に入らないですよ。もう2度と2人が別れる事はないと思います。……絵麻はそういう子だから」
確かにそうだ。
彼女は情深く、優しい。
きっとやり直すと決めたら、二度と別れる事のないように努力するはずだ。
「本当にいいんですか?まだ今なら間に合いますよ。絵麻を手に入れたいなら、早く19時までにこっち来て下さい」
「行きたいけど無理だ。今、名古屋にいるんだよ」
今から急いで今日の残りの仕事を終わらせて東京に向かったとしても、確実に19時に間に合うはずがない。
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