693人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
彼女を助手席に乗せ、車を発進させた。
「お前、今日はこれからどうすんの?」
これから彼氏に会うんだろうか。
そう思っただけで、大人げない程に嫉妬心が芽生えてしまう。
「あ、今日はもともと実家に行く予定だったので、家帰って荷物まとめたら実家に帰ります」
実家か。
顔には出さないけど、内心安堵した。
「ふーん。よく帰ってんの?」
「月に1回は週末必ず帰って1泊するんです。今日は妹とお母さんがパーティーをしてくれるので」
「パーティー?」
「私の誕生日が来週なので、今日お祝いしてくれるみたいなんです」
来週が誕生日だなんて、初耳だった。
今まで付き合ってきた女の誕生日なんて、誰一人思い出せない。
プレゼントもやった事がないし、祝ってやった記憶もない。
誰かの誕生日を祝うなんて、自分には無縁な事だと思っていた。
「へぇ。俺も行こうかな」
「えっ?」
「何だよそのマヌケな顔」
「や、だって鳴海さん……そもそも用事ありますよね?」
完全に顔ひきつってるけど。
「あるけど、別に時間ずらせるし」
用事なんて最初からない。
前から家族の話は聞いていたから、一度会ってみたいとは思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!