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強引に実家まで送っていく約束を取り付け、車は彼女のアパートの前に着いた。
「とりあえず早く荷物まとめて来い。ここで待ってるから」
彼女は困った表情をしながら車を降りる。
その後ろ姿を見ていたら、アパートの前で彼女に声をかける男が目に映った。
誰だ?アイツ。
車を降りようとすると、2人の会話が聞こえてくる。
その会話の内容を聞き、すぐにわかってしまった。
……コイツが彼女の男か。
「初めまして。伊咲さんの上司の鳴海といいます」
車を降り、2人に近付いた。
俺を敵意むき出しで睨み付ける視線。
彼女を裏切って浮気しておきながらも、未だに平然と彼女を独占している男。
「絵麻の彼氏の武川です。うちの絵麻が何か」
「実は伊咲さんが、最近脅迫を受けていまして。その件で、私の他にも数名の者達で彼女を守っていたんです」
「脅迫……?」
まるで初めてその事を聞いたような顔をする男。
彼女から何も相談を受けてないのか。
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