彼女の決断

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「何言い出すんだよアホか」 「だって、タケルから今まで女の子の話聞いたことないんだもん」 「家族に普通しねーだろ、女の話なんて」 「でもお兄ちゃんは、彼女の話昔からしてたじゃない」 確かに、言われてみれば兄貴はよく学生時代から付き合ってる彼女を家に連れてきては泊めていた。 だからって俺はそんなタイプじゃない。 「じゃあタケル今彼女いるの?」 「いねーけど」 「ほらやっぱり。勿体ないよね、顔はカッコいいのに女の子に興味ないなんて」 残念そうな目で姉ちゃんが俺を見て、俺の男好き説でやたらと盛り上がり始める家族。 いい加減にしてくれよホントに。 「勝手に変な想像すんな。俺にだって好きな女くらい……」 ついそこまで口走ると、さっきまで盛り上がっていた全員の視線が一気に俺に集中した。 ケーキを食べながらただ1人黙っていた親父でさえ、驚いて顔を見上げる始末。
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