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「お前、正直アイツのことカッコいいって思っただろ」
「カッコいいっていうか……女性にはモテそうだなと思いました」
「そういえば、昔からアイツが1番女に人気あったな。女なら誰にでも優しいんだよ。俺には絶対出来ないけど」
誰にでも優しい人は、心の底からは信用できない。
私は、そんな器用じゃない人の方がずっといい。
……鳴海さんみたいな人の方が、ずっといい。
そのあともどんどん料理が運ばれてきて、あまりの美味しさに幸せな気分でいっぱいになった。
今日、2年間付き合った陽くんと別れたことを忘れてしまいそうなくらい。
鳴海さんとの食事は凄く楽しくて、幸せだと思った。
そして最後にデザートが運ばれてきた。
運ばれてきたものは、苺がたっぷり乗った小さめのホールケーキ。
その中央には、プレートが飾られていた。
『Happy Birthday Ema』
「絵麻」
その声に、体がピクンと無意識に反応してしまう。
「誕生日、おめでとう」
鳴海さんのその言葉を聞いた瞬間。
私はどうしようもない程に気付いてしまった。
気付かないフリをしていた、自分の気持ちに。
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